綿の歴史は非常に古く、メキシコでは紀元前5000年、パキスタンでは紀元前3000年に綿花が発見されています。
元々原産地はインドで、そこからアラブの商人によってイタリアやスペインに伝わり、ヨーロッパ各地へ広がっていったとされています。
日本へ綿が入ってきたのは平安朝初期の頃で、中国からの貢物として贈られたのが始まりと言われています。
その後綿の種子が伝わったことから栽培が始まり、製品化されるようになりました。
当初は高級品で庶民が手に入れられる品ではありませんでしたが、江戸時代には庶民にも徐々に親しまれるようになりました。
特に綿が広まったのは徳川吉宗の時代で、絹織物の着用が禁じられたことがきっかけとなり、普及が進みました。今では多くの国で栽培され、様々な品種の綿が誕生しています。
夏を涼しく過ごすには綿素材が良いと言われる理由のひとつに、非常に吸湿性が強いことがあります。
内側と外側に温度差ができると、綿素材は内側の水分を吸い取って、これを外側へ発散しようと働きます。
その時に気化熱が奪われて全体の温度が下がり、涼しく感じるというわけです。
冬が暖かく感じるのは、熱伝導率が低い性質であるためです。熱が放出されにくく、暖かいというわけです。
たまに洋服を着ると、チクチクして不快に感じることはありませんか。
それは恐らく、化学繊維が使用されているからでしょう。
化学繊維は綿に比べて一本一本の細い糸がとても硬いため、上記のようにチクチクを感じてしまうのです。
そんな化学繊維に比べて綿は、繊維の先端が丸みを帯びて柔らかくなっています。
そのため、直接肌に触れても化学繊維のようにチクチクすることはありません。綿は様々な繊維の中でも肌触りの良さに優れているのです。